1990 ベルリン

前年の暮れから、市民たちは、ベルリンの壁を勝手に崩し始めていた。
まだ東西ドイツは統一していなかったが、それはもう必然の流れと誰もが感じていた。
自分も、熱狂の群れに参加し、壁に向かってハンマーをふるった。
まさに時代が変わる瞬間に自分は立ち会っているのだと思った。
これから少しずつ、世界は本当に平和に向かっていくのだと、信じていた。
© 利重 剛

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